死んでもいいというのはこういうことなんだろうな

涙でなく、笑顔が多いのは開幕シリーズが楽しかったということか?

イチロー

純粋に楽しいということではないんですよね。

誰かの想いを背負うというのはそれなりに重いことで、簡単なことではない。だから凄く疲れました。

結果を残して最後を迎えたら一番いいなと思っていたが、叶わなかったが、あんなふうにファンが球場に残ってくれて、死んでもいいというのはこういうことなんだろな。

死なないけど、こんな表現をするときってこういうときだろうなと思います。


ほんとすごい。
死んでもいいって、自分のやりたいことを達成したり、やり尽くしたときに出てくる言葉だと思ってましたが、ファンがここまでしてれたということに対して、その表現が出てくるというところあたり、ほんとに悟りを開いたお釈迦さまのようです。

【はかり】は自分の中にある

生き様でファンに伝えたれたことや伝わったら嬉しいと思うことは?

イチロー

生き様を生き方と考えるのなら、人より頑張ることなんてとてもできない。

あくまで【はかり】は自分の中にある。

自分なりにはかりを使いながら、自分の限界をちょっと超えていくということを繰り返していく。

するといつの日からかこんな自分になっているんだという状態になっているので、少しずつの積み重ねが大切で、積み重ねることでしか自分を超えていくことはできない。

一気に高みにいこうとすると、ギャップがありすぎて続けることができないと考えているので、地道に進むしかない。

ときには後退や後退しかない時期もあるが、自分がやると決めたことを信じてやっていく。
決めたことが正解とは限らないので、遠回りもするが、それでしかホントの自分に出会えない。

今日のゲーム後の出来事は、自分が重ねてきたことを見ていただいてくれていたのかと思うとすごく嬉しい。そうじゃなくてもあれは嬉しい。


ほんと物事の本質をついています!

積み重ねることでしか前に進めない。

イチローの言葉にはほんと重みがありまくりです。

ホリエモンの【ゼロ】にも書かれていますが、できることを0から足していくことでしか、前に進むことはできないわけです。

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なにもない自分に小さなイチを足していく

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マリナーズ以外に行く気持ちはなかった

引退を悩んだ時期、引退を決意した理由は?

イチロー

引退というより、クビになるんじゃないかという気持ちはありました。

ニューヨークに行ってからは毎日そんな感じです。マイアミでも同じで、毎日そんなメンタリティーで過ごしていました。

クビになるときが引退の時だろうと。

昨年シアトルに戻していただいて、ほんとに嬉しかったし、マリナーズ以外に行く気持ちはなかったというのが大きい。
昨年の5月にゲームに出られなくなったときのタイミングでもおかしくなかったけど、この春に向けて可能性があると伝えてもらっていたので、そこに向けて自分なりに頑張ってこれた。


まわりからは引退の話が聞こえてくる中でのプレッシャーは半端なかったでしょうね〜。

今から考えると、マリナーズに戻ったときの記者会見では、そんなプレッシャーから開放された気持ちが垣間見えていたような気がします。

言葉ではなく結果という行動で示す

アメリカのファンにメッセージを

イチロー

最初は厳しかったですよ。2001年のキャンプなんかは「日本に帰れ」としょっちゅう言われた。

だけど、結果を残した後の敬意の示し方は迫力があるという印象。

なかなか入れてもらえないけど入れてもらったとはすごく近くなるという印象で、関係ができあがる。シアトルのファンとはそれができたように感じる。

ニューヨークは厳しいところで、やればどこよりも熱い思いがある。マイアミはラテン文化が強くて、ニューヨークほどではないが、結果を残さないと絶対に人が来てくれない。

それぞれに特徴があって、面白くて、それぞれの場所で関係を築けた。
最後にシアトルのユニホームを着て姿を見せられなくて申し訳ない思いがある。


それぞれの地域で結果で関係を築いてきたからこそ、菊池雄星選手には「1年目から結果を残して、3年続けろ」というアドバイスを贈ったわけですね。

結果がすべてを物語っているイチローの一言ですね。

3000個握らせてあげたかった

弓子夫人への思いは?

イチロー

一番頑張ってくれたと思います。

ホームのゲームの際には、僕が食べるおにぎりを握ってくれるんですが、その数が2800個くらいだったんです。
だから3000はいきたかったみたいですが、そこは3000個握らせて上げたかったなと思います。

僕はゆっくりする気はないですけれど、妻にはゆっくりしてもらいたいと思っています。

それと一弓(いっきゅう)という我が家の愛犬は現在17歳と7ヶ月で、おじいちゃんになってきて、フラフラなんだけど懸命に生きている。その姿を見たら、頑張らなきゃなって思いました。

ほんとに妻と一弓には感謝の思いしかないですね。


奥様への愛情はすごいですね。
300億円とも言われるイチローの資産運用を一手に引き受け、家事までこなすなんてすごすぎですよね。

お互いに自立して、一流の仕事をしているからこそ、関係が成り立っているのかもしれません。

お酒の力をまざまざと見た!?

今までで一番考え抜いて決断したものは?

イチロー

順番を付けられないですね。それぞれが一番だと思います。

ただ、アメリカでプレーするためには、自分の思いだけではかなわないので、誰を口説くかということを考えたときに一番に浮かんだのが仰木監督でした。

何年か前からアメリカでプレーしたいというのは伝えていたのですが、仰木監督なら、美味しいご飯とお酒でうまくいくんじゃないかと思ったらまんまとうまくいったんです。

これがなかったら何も始まらなかったので、口説く相手に仰木監督を選んだのは大きかったと思います。

「だめだ駄目だ」とおっしゃってたものがお酒でこんなにかわってくれるんだと思って、お酒の力をまざまざと見た瞬間でした。


お酒の力は偉大ですね!

とはいえ、お酒は飲んでも飲まれちゃ駄目ですよ!

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